ここでは、顎関節症を理解するために、まず顎の生理的な状態について説明します。
- 顎のはたらきを2つの動作に分けて考えよう
顎の一連の運動は、機能的に見ると大きく2つに分けることが出来ます。1つは、顎を開けたり閉めたり自由に動かす運動で、動的運動状態と呼ぶことにします。もう1つは、歯を合わせてグッと咬みしめる動きで、静的運動状態とします。
- 顎の3つの構成要素と、そのしくみ
顎は、機能的にみると、歯列(歯の咬み合わせ)・筋活動(咀嚼筋の働き)・顎関節(耳の前にあるアゴの関節)の3要素から構成されています。この3つの要素の機能を、動的運動状態と静的運動状態のそれぞれにおいて説明します。
上の3要素(歯列・筋活動・顎関節)が調和してはたらいている状態が、顎の生理的状態と考えます。 その調和とは、解剖学的、生理学的にであると同時に、顎も重さを持った実体なので、物理の法則(ニュートンの運動法則のような古典的物理)に対しても調和しています。そのメカニズムを説明します